こんにちは。技術開発部・配信/インフラチームの二階堂です。
弊社のプロダクトでは連携している効果測定ツールに対して、S2Sで通知を行う場合があります。 この通知処理を以前まではEC2上に配置したデーモンプログラムで行っていたのですが、処理の共通化・高速化・インフラ費用削減などの目的でSQS+Lambdaに移行しました。 この経験を踏まえて移行時のポイントを紹介したいと思います。
移行前のフローと問題点
- 通知先のURLの入ったログを通知用インスタンス(複数ある内のどれか一つ)に書き出す
- EC2上に配置したデーモンプログラムがログを読み込み通知を行う
- 同じくデーモンプログラムが通知結果のログを書き出す
問題点
- 常時起動のインスタンスが高価
- 時間帯によって通知量が変化するため通知量が多い時に時々遅延が発生する
- 通知漏れが発生した際にどの通知用インスタンスが原因か調査するコストが高い
SQS + Lambda のフロー
- 通知先のURLの入ったログをSQSに送信
- 定期実行されるLambda(図中a)がSQSに送られたメッセージ数(NumberOfMessageSent)に比例した数の通知用Lambda(図中b)をキック
- 通知用LambdaがSQSからメッセージを取得→通知→結果をS3に保存を5分間繰り返す
特徴・改善点
- 常時起動EC2よりLambdaの方が圧倒的に安価 (問題点1)
- 全てのログを一度SQSに送る事でそれ以降のフローを共通化し調査コストを下げた (問題点3)
- Lambdaを2段構成にする事で通知量の変化に柔軟に対応できるようになった (問題点2)
- 通知用Lambdaはログのパースと通知しかしていないので他の通知にも容易に対応できる
効果
- インフラコストが約10分の1に減った
- リリース以前には定期的に発生していた調査や再通知などの対応もほぼ無くなり安定して動作している
移行した感想
Lambdaの料金は実行時間*メモリ使用量なのでその辺を意識したコードになっていないと高い効果が得られません。 今回の処理内容はただの通知なのでメモリはあまり使わないので速度を上げる工夫として通知部分を並列化しました。 最初は並列化していなかったのですがその時は移行前とあまり費用が変わらなかったことを考えるとコスト意識の重要性が判りやすいのではないかと思います。
今回の基盤開発は並列化対応も含めて何かと初めての経験が多い開発だったので効果にしても経験にしてもとても有意義なものだったと思います。
今回は以上となります。